硫黄

硫黄とは?

原子番号16番、原子記号はS、原子量は32.065。

非金属の黄色結晶でとても綺麗です。

英名のSulfurはラテン語の「燃える石」が語源と言われています。

約120℃に熱すると溶け、液体では澄んだ赤褐色をしています。

水には溶けず、電気や熱も伝えにくいです。

ほとんどの金属と化合し、様々な硫化物を作ります。

金属以外では水素や炭素と反応して、硫化水素や二硫化炭素となったり様々な硫黄化合物となります。

硫黄って温泉の・・・?

細井化学工業は硫黄を売ってる会社です、と説明すると「硫黄って温泉とかのアレ・・・?」とよく言われます。

温泉のアレが硫黄で間違ってはいません。火山が多く存在する日本では、天然硫黄も容易に採取でき、古くから硫黄の採掘が行われてきました。しかし、現在の日本では天然硫黄の採取は行われてはいません。

ガソリンや石油の素となる原油には硫黄分が含まれていて、脱硫と呼ばれる作業で硫黄分を取り除き、ガソリンや石油へと精製されていきます。この取り除かれた硫黄が熱々の液体で工場へ運ばれ、冷やし固まったものを崩して取り扱っております。

硫黄とゴム

硫黄のおかげで伸び縮み

ゴムと聞いてまず思い浮かぶのが『伸び縮みする』モノではないでしょうか。実はこのゴムが伸び縮みする特性には、硫黄の存在が不可欠なのです。

生のゴムは伸ばしたら伸びきったまま最後には切れてしまいます。生のゴムに硫黄を加え加熱すると、硫黄がゴムの分子どうしを結びつける役割(架橋)を果たして『伸び縮みする』ゴムになるのです。

偶然の発見!?使えるゴムの誕生

15世紀の終わり頃、コロンブスが航海中にハイチ島でゴムボールを目にし、持ち帰りました。これがその後のゴムの発展につながります。

当初ゴムはとても高価なわりに耐久性が低く、冬は硬くなり夏はベトついたりと使いにくいものでした。しかし300年以上の時が過ぎた1839年、アメリカのチャールズ・グッドイヤーが偶然の発見をしました。

ストーブに硫黄とゴムを一緒に置いていたところ、熱で化学変化を起こしゴムの弾力性が増していることに気づいたのです。(※諸説あり)

その後、ゴムに硫黄を加える研究が進められて加硫ゴムが誕生し、世界中で使われるようになりました。

身近なゴムに様々なゴム

身の回りを見渡してみましょう。輪ゴム、タイヤ、靴、ボール、ホース、ゴム手袋etc.・・・ゴム製品が溢れていると思います。ゴムが無ければ不便な生活になるのは間違いないでしょう。そんなゴムに硫黄が入っているのです!(一部のゴムを除く)

一口にゴムと言っても、使用用途に合わせ色々な種類のゴムが存在しています。
主にタイヤなどに使われる天然ゴム(NR)やスチレンブタジエンゴム(SBR)、ベルトや電線被覆に使われるクロロプレンゴム(CR)など、今もなおゴムの研究がなされており、硫黄が使われた新しいゴムが誕生するかもしれません。

硫黄と農業

うどんこ病やダニに効く

殺菌作用に優れている硫黄は、農薬としても活躍しています。主に殺菌・殺虫剤として使われ、うどんこ病やダニには特に効果が高いです。

防カビ・防虫、酸化防止も!

硫黄を燃やすと発生する二酸化硫黄は別名『亜硫酸ガス』といい有毒ガスとして知られていますが、干し柿やかんぴょうなどの燻蒸という処理に使われて、防カビ・防虫や酸化防止のために活躍しているのです。

食品の原材料名に表記されていることもあるので、探してみてください。

美味しいブルーベリーに

酸性土壌を好むブルーベリーのような植物に硫黄は欠かせません。硫黄を撒いた土壌はpHが下がり酸性土壌になります。

一般社団法人日本ブルーベリー協会HP内下部「微粉硫黄」より土壌改革(pH調整剤)の購入も行えます。

硫黄とエネルギー

大容量蓄電池システムにも!

NAS電池(なすでんち)ってご存知ですか?

高度なセラミック技術で商品化を実現した蓄電池、日本ガイシ株式会社様の『ナトリウム硫黄電池』のことです。硫黄はこの電池の正極活物質として使用されています。

太陽光や風力などの自然エネルギーによって発電した電気の余剰分を、蓄電池設備に蓄えることで、クリーンな電力を長時間安定供給することができます。

※NASはNGKの登録商標です。
写真提供:日本ガイシ株式会社様

未来の電池で活躍する硫黄

携帯電話やノートパソコンなど様々な電子機器に搭載されているリチウムイオン電池。この電池より大容量かつ長寿命を実現する次世代の電池として『リチウム硫黄電池』の研究開発が進められています。

硫黄は未来の生活にも欠かせないものとなりそうです。

硫黄と産業

マッチから花火まで

6~7世紀ごろ発明された黒色火薬、硫黄はその原料のひとつでした。その後、生活に無くてはならないマッチの原料にもなりました。

現在でも花火の原料や発煙筒に使われているのです。

コーンスターチと硫黄の関係

食品だけでなく様々な用途につかわれるコーンスターチの製造に、硫黄が関わっています。

原料のトウモロコシを柔らかくするため、二酸化硫黄が溶けた亜硫酸水に漬け込む工程があり、重要な役割りを果たしています。

産業を陰で支える硫黄

中間材の原料や製造工程の途中に関わる硫黄は、半導体のドライエッチング剤、写真プリント用紙の漂白、医薬中間品のほか、藍色をつくりだす染料に使われたり、あげたらキリがないほど様々な分野で活躍しています。

まさに、産業を陰で支える縁の下の力持ちなのです。